おはようございます。
ようやく発売されましたね。
法改正のタイミングに近く出てきた唯一のソフトになっています(いまのところ)。
果たして壁量計算とは、皆さんどうするんでしょうか?
壁量計算ソフト単体と考えると、インテグラルの構造EX(の単体)や、時空間の壁Check6くらいしか見当たりません。もちろんフリーソフトもありません。壁量だけ算出のようなものはありますが、柱の小径などもありますので、オールでできるソフトは少なそうです。
そんななか「木造構造計算ソフト」として、出たHOUSE-ST1は?どうか?
元のバージョンでも壁量計算はできました。しかし書式が整っていなかったり、使い勝手が壁量計算ソフトとしては成熟していなかったのでやや使いにくかったです。しかしVer.9で印刷書式が整い、単体のソフトのように使いやすくなりました。小屋裏収納も入力できるし、4分割法の調整もできます。意外と良い仕上がりになっているようです。
2025年の法改正で、従来は「建築基準法施行令で決められた必要壁量」を守ればよいことから、「自分で必要壁量を求める」形に変わりました。そのための求め方はいろいろですが、簡単な式や面積から求める「簡単な形式」はあくまで略算です。表計算ツールにしろ早見表にしろ限界があります。試してみたところ、かなり良いツールでそれほど外れないのも事実ですが、やはり構造計算には劣ります。きちんと基準法の必要壁量を求めるためにはやはり構造計算が必要です。その点Ver.9では構造計算と同様の建物荷重を算出し必要壁量を求められる、正規の方法に対応しているので、安心感があります。もちろん早見表やExcelの表計算ツールを使っての方法にも対応しています。ただ他社のツールのように自動計算ではなく、それぞれのツールを使って出た必要壁量を入力するという方法になっているため一手間多くなります。その代わり汎用性に優れます。
構造計算ソフトとしては、壁量計算が提出不要になったことに対応したり、鉛直方向壁量充足率の追加など、法改正自体が少なかったこともあり、それほどの変化はありません。そうなるとソフト全体の機能アップに焦点があたりますが、出力時間の短縮、2点留め筋かい金物への対応、ベタ基礎接地圧計算の範囲直接入力など小幅にとどまります。使い勝手に関してもキープランウインドウや断面リストの対応など、目玉といえるほどのものはありません。もっとも既に成熟しつつあるソフトなので、今から劇的な、というのは難しいかと思います。ただ先行するメーカーの商品に追いついているか?という意味では正直不満が残ります。
苦言を呈すれば、柱の小径がついていないこと。これはExcelの表計算ツールで何とかはなるのですが、複雑な形状の場合などに算定する機能がついていればありがたいです。このあたりは、構造EXなどは対応しています。また建築CADでもアーキトレンドなどは対応しているので、頑張ってほしいものです。もっとも構造屋さん的な観点からいえば、そういった建物を壁量計算で行うのは問題あると考え、素直に許容応力度計算を行えばいいだけの事なので、木造構造計算ソフトであるHOUSE-ST1にとってはそれほど弱点になるものではありません(簡単に長期軸力もだせますし)。
もう一つ苦言を。今まで木造構造計算ソフトとして高い評価を受けてきたHOUSE-ST1ですが、今回のバージョンは、「おまけであるはず」の壁量計算機能は単体ソフトと遜色ない機能と使い勝手で、評価も高いのですが、肝心の木造構造計算ソフトとしての進化が非常に少ないところです。使い勝手の向上はあるものの、旧来ユーザーが8万円以上(WEBショップの場合)かけてバージョンアップする内容ではないです。もちろん法改正があるので、バージョンアップしないと対応が難しい部分があるバージョンではあるのですが、少々残念です。
今回のバージョンアップで、法改正で、切り離された壁量計算を見捨てず、木造構造計算ソフトと木造壁量計算ソフトをうまい形で共存させて、使い勝手が向上したソフトへと進化しました。これは、当面は壁量計算をやりつつ、次第に木造構造計算をマスターしたいという方には、最適解なソフトだと思います。壁量計算と構造計算がシームレスに繋がり、壁量計算のデータにそのまま構造計算のデータを加えれば構造計算が出来てしまう手軽さは他社にはありません(似た形はありますが、オプションだったり色々です)。一括で購入するとキャンペーンでも40万円ほどしますが、年会費が不要などのメリットもありますので、買う価値はあります。長い目でみれば、構造計算の必要性は年々上がってきています。お客様も構造計算付きの建物を望む傾向が強くなっています。壁量計算ソフトとしての使い勝手も上々で、初心者が構造計算するのに適していると評価されているHOUSE-ST1であれば、その要望に十分答えられる選択肢の1つであると断言できます。
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